NEEDY GIRL OVERDOSE #1.5 【ややネタバレあり】
ゲームの感想などではないけど、気になる記事があったので考えをまとめてみた。
ゲームにおける精神疾患の誠実な扱いとはなにか? – IGN Japan
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
池田伸次氏が問題視している点
精神疾患と服薬の取り扱いは不適切で、精神疾患を患う者を見世物として描いている
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
私個人の意見(というか結論)
- コンテンツの内容が適切か不適切か、配信プラットフォームが決めるんだよ。
- 日本で適法か違法か、最高裁判所が判断するんだよ。
- 道徳的か背徳的かは視点によって変わるよ。まさに十人十色だね。
- 「NEEDY GIRL OVERDOSE」はゲームなので、買った人が多ければ、それは世界が興味深い&面白いと判断されたことなんじゃないかな。
- 池田氏の心配もわかるけど、ちょっと分母を大きくして二元論を語ったのは、少し悪手だったかも…。ドンマイ!
- にゃるらさん、クリエイターの皆さん、お疲れ様でした。とても面白いゲームで楽しんでいます。ありがとう!
「不適切」という言葉について
[名・形動]その場の状況や話題となっている事柄に対する配慮を欠いていること。また、そのさま。「―な発言」「―な表現」「―にも程がある」
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E4%B8%8D%E9%81%A9%E5%88%87/
「ゲームにおける精神疾患の誠実な扱いとはなにか? – IGN Japan」はNEEDY GIRL OVERDOSEが「精神疾患と服薬の取り扱いが不適切」であると断じている根拠が、池田氏個人の価値観であることを明確にした方が良かったんじゃないかなぁ。
私は「双極性障害を患っている」池田氏の主張は理解できるし、共感もできる。彼の婚約者も「心の病を抱えている」ことからも、彼なりの正義感からの問題提起であることも推察できる。しかし、当事者であるが故に「精神疾患を患う者」全員が池田氏と同じ意見のように見せたのが問題かなと。分母を大きくしすぎたが故に、私は反感を持ってしまった…。
池田氏は「私の価値観では到底容認できない」という立脚点を、より一層明確にすべきであったし、分母を大きくしない方が、多くから共感を得られかもしれないのに。
ゲーム内での精神疾患の取り扱いは不適切か
わからない。プレイヤーの感受性やリテラシー次第としか言いようがないと思うよ。
池田氏は精神疾患へ真摯に向き合ってほしいという願いがあるのかもしれないけど、残念ながら、その願いは叶えられることがないように思う。
同じ類の願いは、度合いは違えど、私も持っているよ。ただ、私は諦めた。自転車に乗れる人は、自転車に乗れない人の気持ちはわからないんじゃないかな。
私は「あめちゃん」を愛すべきパートナーであり、崇拝の対象としても見てる。この感情も「ゲーム内での精神疾患の取り扱いが不適切」だから?
服薬の取り扱いは不適切か
肝臓などに負担をかける意味では不適切。
その先にある、ODしたり薬物を使ったりしてでも、現実から逃避したいという気持ちは否定できないなぁ。
本作のヒロインあめちゃんに対して薬物を使うことをほのめかせ
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
毎回ではないが「おくすり」コマンドを実行後のポケッターの投稿は「ピ」も一緒にODしたり薬物使ってるような記述もあるので、あめちゃんにだけ唆している訳ではない。あめちゃんがODするならピもODする。私は、ピのあめちゃんへの確かな愛を感じる。
精神疾患を患う者を見世物として描いているか
現実には真正面から向き合わないと生きていかれない疾患、それが精神の病だ。それがカジュアルに消費されていることはおそろしい事態だと感じさせられる。
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
池田氏は「おそろしい」と思っている。私はそうは思わない。当たり前のことだから、おそろしくない。人は他人を消費して生きている。
この20年で精神疾患はとても身近になった気がするよ。他人事ではない。画面の向こうにいる女の子も、長年の付き合いがある親友も、横で寝ているパートナーも、いつ精神疾患にかかるかわからない。とても「カジュアル」だね。
あめちゃんに軽い処方箋ドラッグを与えているとそのうちにエスカレートしてイリーガルなドラッグが登場し、さらに与え続けると「LSDのやり過ぎで向こう側の世界にいってしまう」ものすらある。
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
正確ではない。
まず「処方箋ドラッグ」という表記に疑問を呈したい。処方薬がまるでドラッグみたい。
次に本作に「イリーガルなドラッグ」は登場しないよね。「イリーガルなドラッグを想像させるモノ」は登場するけど。
推測・憶測が事実であるかのように記述することは、良くないと思うよ。
「LSDのやり過ぎで向こう側の世界にいってしまう」はエンディング「Rainbow Girl」のことだと思うけど、私個人の感想としては「救い」だったなぁ。
あとLSDやり過ぎても向こう側の世界にはいかないのでは?一時的には行くのかもしれないけど。
2022年5月現在、40万本販売を突破している
メンタルヘルスの問題というのは依然として真剣に向き合わざるを得ないものだし、戯画化して軽んじることによって重荷を捨て生きよう、というのもわかる。わかるが本作は主人公を「自尊感情を欠いた承認欲求のモンスター」として据えている。ドラッグだってやらせることができる。このことに問題がないのかは吟味しただろうが、健常者に誤解を生みうるし、その誤解は精神疾患を持つ者への理解を遠ざける(開発者のにゃるら氏も当事者にも関わらず、なぜこの危険性に平然としていられるのか。にゃるら氏と同じ精神疾患を持つ自分とどうしてここまで違うのか)。
https://jp.ign.com/needy-girl-overdose/58515/opinion/needy-girl-overdose
違って当たり前である。他人なのだから。正義の反対は正義だし。でも人間だから「正しい」「間違ってる」で争っちゃうんだよね。
もう一回まとめ
- コンテンツの内容が適切か不適切か、配信プラットフォームが決めるんだよ。
- 日本で適法か違法か、最高裁判所が判断するんだよ。
- 道徳的か背徳的かは視点によって変わるよ。まさに十人十色だね。
- 「NEEDY GIRL OVERDOSE」はゲームなので、買った人が多ければ、それは世界が興味深い&面白いと判断されたことなんじゃないかな。
- 池田氏の心配もわかるけど、ちょっと分母を大きくして二元論を語ったのは、少し悪手だったかも…。ドンマイ!
- にゃるらさん、クリエイターの皆さん、お疲れ様でした。とても面白いゲームで楽しんでいます。ありがとう!